Coach's VIEW は、コーチ・エィのエグゼクティブコーチによるビジネスコラムです。最新のコーチング情報やコーチングに関するリサーチ結果、海外文献や書籍等の紹介を通じて、組織開発やリーダー開発など、グローバルビジネスを加速するヒントを提供しています。
組織の雰囲気を変える
先日、あるオーナー企業の社長からコーチングを依頼され、お会いしてプレコーチングを行いました。
コーチングの目的は「会社の雰囲気を良くしたい」。
古くから、組織の財産は、人、物、金、であるといわれてきました。さらに知的財産という考え方が加わって、すでに長い年月が経っています。
そして、この数年で新たにソーシャルキャピタルという考え方が広まりつつあります。組織開発の分野においては、社会関係資本(人と組織の間にある見えざる資産)と直訳されているようですが、誤解をおそれず簡単に言ってしまえば「組織の雰囲気の良さ」「組織の風通しの良さ」は、その組織にとっての財産そのものなのだということなのです。
「あそこの会社は雰囲気がいいですね」「あのお店は感じが悪い」などという会話は今に始まったことではありません。私たちは、雰囲気や感じの良い組織が、結果的に生産性の高い組織なのだということを、どこか直感で知ってるのです。
ひと時代前までは、組織の雰囲気をよくするための方法として、社員旅行や飲みニケーションがよく行われたものです。ところが、高度経済成長、バブル経済の崩壊、長引く不況を経て、日本の組織風土は大きく変化しました。今や仕事とプライベートの切り分けは当たり前になり、会社帰りに若い部下を飲みに誘うことさえ難しい職場もあると聞きます。
今までと同じやり方ではソーシャルキャピタルを上げることが難しくなってしまったのです。多くの経営者やマネージャーが、あらたなコミュニケーションの手法を求めて頭を悩ませているといっていいでしょう。
さて、私はその社長に質問しました。
「今はどのような雰囲気なのですか?」
「もっと元気な会社にしたい。今の社員はおとなしすぎる」
と社長は言います。私はさらに質問をしました。
「社長と部下とのコミュニケーションはどの程度ありますか?」
「コミュニケーションはたくさんありますよ。なるべく部下と話そうと意識していますからね」
「それはすばらしいですね。では、もうひとつ質問していいですか? 社長と部下と何対何の割合で話していますか?」
その質問に社長は顔を赤らめながら答えました。
「8対2かな、いや9対1かな、いずれにしろ私が一方的に話してます。だってね、桜井さん、しゃべりませんよ今の若いものは……」
「社長。コーチングの最も大切なポイントは双方向のコミュニケーションをとることなんですよ。コミュニケーションはキャッチボール。もっと部下にボールを投げさせないとね。そうすれば会社の雰囲気はかわるんじゃないですか?」
「それはそうだろうけど、実際にはどうすればいいのかな。桜井さんはどうしてるんですか?」
「ふむ。確かに難しいことですよねぇ……」
『若い者にしゃべらせるための戦略を考えてくる』
次のセッションまでのふたりの宿題になりました。
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