書籍紹介

Hello, Coaching! 編集部がピックアップした本の概要を、連載形式でご紹介します。


第5回 なぜ、優秀な人ほど「変化」でつまずくのか
トランジション・コーチングの教科書
内村 創

伴走者(コーチ)の存在

コーチ・エィ 取締役 常務執行役員、内村 創による著書『なぜ、優秀な人ほど「変化」でつまずくのか トランジションコーチングの教科書』が、ディスカヴァー・トゥエンティワンから2026年3月20日に発売されました。本書は、トランジション(移行期)に直面するリーダーが、新たな役割・環境へ素早く適応し、成果を出すための具体的な行動指針や方法を示した実践書です。

発売を記念して、トランジションが難しい背景やそれを成功に導くためのヒントを、本書から抜粋してご紹介します(全6回)。

第1回
はじめに
第2回
トランジション発生頻度が増えている
第3回
トランジションの難易度も高まっている
第4回
成功体験の落とし穴
第5回
伴走者(コーチ)の存在
第6回
「能力」ではなく「関係性」へのコーチング

第5回 伴走者(コーチ)の存在

人は、「変わらなければならない」と頭で理解していても、実際にはなかなか変われないものです。たとえそれが自分の健康や人生に関わる重大なことだったとしても、行動を変えることは、驚くほど困難です。
たとえば喫煙のようにそのデメリットが自分の命を脅かすレベルであったとしても、多くの人が同じ習慣を繰り返してしまうのは、依存成分の問題もあるでしょうが、それ以上に変わることが「これまでの自分を手放すこと」だと感じるからです。レクチャーや上司からの助言で、「こうすべきだ」「これが正解だ」と言われても、人はなかなかそのとおりに動けません。
むしろ、変化を求められた瞬間に、心の中では「今のままで大丈夫」と自分を守る声が生まれます。私たちは、長年の経験を通じて、自分を安全に導いてきた「やり方」や「スタイル」を身につけています。それを変えることは、成功体験やセルフイメージを脅かすことになります。だからこそ、人は無意識のうちに「変わらない理由」を探し、現状維持を正当化するのです。

変化とは、これまでの「安定」を手放す行為です。会社の中で成果を出してきた自分のスタイル、信頼関係を築いてきた振る舞い方、それらを一度、脇に置き、新しい行動を取ることは、他人が想像する以上に、本人には大きなリスクに感じられるものです。「これまでのやり方を変えるくらいなら、リスクには目をつぶって変わらないことを選ぶ」―そう無意識に判断してしまうのです。

成長したい、変わらなければいけない、だけど1人ではそれがなかなか難しい―そんな状況に寄り添うのが、コーチという伴走者の存在です。
コーチは、あなたが何に恐れを抱いているのかを共に見つめ、変わることで何を得られるのか、変わらないことで何を失うのかを一緒に考えることができます。あなたが変化を避けようとするとき、コーチは「それはなぜだろう」と静かに問い返します。小さな一歩を踏み出したときには、その勇気を見逃さずにコーチが気づいたことを言葉にしてくれます。そして、あなたが変化から逃げ出したくなるとき、あなたの鏡となって「今、重要なことから目を背けようとしている」あなたの姿を映し出してくれるでしょう。
自己変容は、魔法のように一瞬で起こるものではありません。時間がかかり、試行錯誤を重ね、時に失敗し、時に立ち止まりながら進むものです。その過程において、信頼できる伴走者の存在は、変容を支える極めて有効な助けとなります。
変化のプロセスにおいて、「1人で頑張る」ことよりも大切なのは、「共に歩き続けてくれる誰かがいること」なのです。

変化とは、自分の「物語」を更新することです。その物語を自らの手で書き換えるために、コーチという伴走者は、思考のパートナーとして、静かに隣に立ち、問いを通してあなたと共に考え続ける存在です。その時間の積み重ねこそが、人が本当の意味で「変わる」ための土台になるでしょう。
トランジションでは、まさにあなた自身が変化に適応することが求められます。その中で、これまでのやり方を手放し、新しいやり方に変化しなくてはならない瞬間が訪れます。だからこそ、トランジションの機会にコーチが必要になるといえるのかもしれません。

なぜ、優秀な人ほど「変化」でつまずくのか

なぜ、優秀な人ほど「変化」でつまずくのか

著者:内村 創
発行日:2026年3月19日
出版元:ディスカヴァー・トゥエンティワン


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